先日、本屋さんで、見つけた書籍。
同期の根本先生の事務所で書かれた書籍。
こりゃ買いでしょ!
はしがきを引用します。
これ、ChatGPTで、写真を入れて文字をテキストにしてってお願いしたらすぐにできます。
前は、打ってたのに、もうその必要がないんです。
3年に1回実施されている厚生労働省による「患者調査」によれば、平成23年に320.1万人であった精神疾患の総患者数が令和2年には614.8万人に上り、10年間で倍近く増加しています。
令和2年の10月1日付の国勢調査では、わが国の人口は1億2,614万5,600人でしたので、実に、20人に1人の割合で精神疾患を患ったということになります。
さらに、厚生労働省のホームページでは、生涯を通じて5人に1人程度の割合で何らかの病気にかかる可能性があるとの指摘もあるような状況です。
そのような状況ですので、皆さんの家族や親族の中にも精神疾患で療養をしている、またはしていた人がいるかもしれません。
精神疾患は、何も珍しい、特別な病気ではなく、当たり前の世の中になっています。
それは職場においても同様で、精神障害の労災認定も平成23年が325件、令和4年が710件と約10年でこちらも倍増しています。
この背景には、精神疾患患者が増えていることもありますが、平成23年12月26日に厚生労働省から「心理的負荷による精神障害の認定基準」が出され、平成11年9月に発出されていた「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」が大きく改定されたこと、その後、令和2年5月にも認定基準に改定があったことなどが挙げられます(その後、令和5年9月にも改定されています)。
精神障害の労災認定の件数が増加する傾向は続くものと思います。職場はメンタルヘルスは大企業であっても、中小企業であっても、重要な喫緊の課題となっているといえます。
しかし、企業の実務担当者や人事部員等は、精神疾患発症者への対応についての経験が乏しかったり、腫れ物に触るような対応をしたりしていることが多いのが実情ではないかと思います。
さらには、そもそも、企業の方々やわれわれ弁護士が精神科医である産業医ではなく、精神疾患に対する医学的知見に乏しいということも問題を難しくしているのものと思います。最終的には、医学的見解に基づいた対処をしなければならないところですが、実務担当者として、最低限のメンタルヘルス対策の基礎知識が備えられておく必要があります。
その基礎知識については、行政から発せられている通知、またはパンフレット、リーフレット等にまとまっていることが多く、実務担当者においては日常業務に追われている中、多くの資料に目を通すことが難しいのではないかと思います。
しかし一方で、メンタルヘルス対策は重要な課題で、自社でも、数名の精神疾患にある従業者に対応しなければならないところです。
そこで、まず、第1部においては、行政資料や過去の裁判例をベースに、筆者の実務上の経験を基にメンタルヘルス不調対策の基礎知識をまとめ、大枠を掴んでいただける内容としました。
そして、第2部では、より詳細にどう問題を捉えて「メンタルヘルス不調対策」を進めるべきかを、第3部では一般的に参考になると思われる「就業規則・規程・各種書式例」を掲載しています。
すでに精神疾患患者への対応が進んでいる実務担当者の方は、第2部のQ&Aから読み始めてもよいですし、基礎的知識から学ぼうと思われる方は第1部から順にお進めいただければよいと思います。
人事部がトラブルに陥る前の予防または発症後の対応をきちんと行うことで、トラブルが生じてしまった時の問題解決の一助となれば嬉しく思います。
最後になりましたが、民事法研究会代表取締役の田口信義様、同社編集部の都嶋博様には、本書の企画から刊行に至るまできめ細やかな対応をいただき、大変お世話になりました。
この場を借りて心より御礼申し上げます。また、令和5年2月に逝去された執筆者お三名の恩師であり、本書の内容に大きな影響を与えてくださいました弁護士髙井伸夫先生に、本書を捧げるとともに謹んで哀悼の意を表します。
令和6年6月
根本法律事務所 所長弁護士 根本 義尚