使用者側弁護士が教える 書式と就業規則はこう使え!改訂2版 向井蘭

中小企業診断士/人事労務/士業/弁護士/社会保険労務士
  1. ホーム
  2. 中小企業診断士
  3. 使用者側弁護士が教える 書式と就業規則はこう使え!改訂2版 向井蘭

こちらも、本屋さんで売っていたので即買い。

同期の向井蘭先生の書籍です。

やっぱり、書式って役に立ちますよね。

はじめに

私が弁護士登録した20年前から現在まで、労使紛争では、書面の証拠が重要でした。

中小企業の場合、書面の証拠がほとんどないため多くの場合惨敗しています。大企業の場合、書面の証拠は揃っていますが、内容の不備で訴訟に負ける、あるいは敗訴同然の和解をすることがあります。

相手が弁護士、労働組合など、労働法の知識・経験があると訴訟結果を左右します。

書面の証拠を見れば、会社が何をしたかがわかります。どういう不利益を被るかがわかり、相談者や組合員を説得します。

つまり、会社にとっては書式が見えないところで活躍し問題を解決に導いてくれるのです。

裁判所は書面の証拠が揃っていると全体を詳細にチェックするため、日本の労働法に則しているかが問われます。

書式は必要ですが、内容を伴わなければならないということです。

就業規則も同じで、あればいいというものではありません。

例えば、定額残業代に関する問題は、就業規則が完璧でも通用しないことがあります。

日本独特の労働法の考え方があり、それに沿った規定をしているかが重要になります。

解雇はもっと特殊です。

誤解を恐れず言えば、日本の労働問題では「従業員の責任」を果たしたかどうかが問われます。

「従業員の責任」とは、簡単に言えば、仕事ではなく「態度が悪い、ルールを守らない、給料を貰いすぎている従業員であっても、雇った以上、経営者は責任を持った対応をしたかどうかが問われています。

この点を押さえておかないと、本書で説明する書式・就業規則を使っても、うまくいきません。

書式は万能ではないことも押さえておきましょう。

事案の実情に応じてきちんと解決する気があるか、法律の趣旨に沿って解決する気があるかが重要になります。

労働問題はフェース・トゥ・フェースが原則で、文書はあくまで補完的・補充的なものです。

本書は、第1部書式編、第2部就業規則編という構成です。

第1部の書式編では、私がこれまで受任してきた事件のなかで、実際に使用してきた書式を主にベースにしています。

第2部の就業規則編では、重要な条文に絞って逐条解説を行っています。

就業規則全文は、第3部に掲載されていますので、注意点を盛り込んだコメントをお読みいただきながら、就業規則の要点を掴んでいただければ幸いです。

第3版執筆にあたり書式を追加し、就業規則の条項についても改正や裁判例に合わせて一部変更しました。

本書を、お読みいただき、今後の労使紛争防止への一助になれば幸いです。

2024年6月
弁護士 向井 蘭